法律

「株主の権利行使を阻止するための利益供与(最判平18.4.10)」をわかりやすく解説

事件の概要

Aが大量に取得したB社(ミシン会社)の株式を「暴力団の関連会社に売却する」などとB社取締役Yらを脅迫した場合において、Aの要求に応じて巨額の金員を交付することを提案し又はこれに同意したYらの忠実義務,善管注意義務違反が問われた事案。

B社の株主が、取締役Yらの忠実義務,善管注意義務違反の責任,株主に対する利益供与の禁止規定違反の責任等があるとして,損害賠償を求める株主代表訴訟を提起。

判決の概要

破棄差戻

  • 株式の譲渡は、株主たる地位の移転であり、それ自体は「株主の権利の行使」とはいえないが、会社から見て好ましくないと判断される株主が議決権等の株主の権利を行使することを回避する目的で、当該株主から株式を譲り受けるための対価を何人かに供与する行為は、「株主の権利の行使に関し」利益を供与する行為というべき

事件・判決のポイント

会社法120条1項は、次のとおりです。

会社法第120条(株主等の権利の行使に関する利益の供与)
株式会社は、何人に対しても、株主の権利、当該株式会社に係る適格旧株主の権利又は当該株式会社の最終完全親会社等の株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならない。

ここでは「株主の権利の行使に関し、財産上の利益の供与をしてはならない」とあり、どのようなケースで該当するか問題となります。

本判例のケースでは、「「株主の権利の行使に関し」利益を供与する行為というべき」と判示されています。

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