条文
第五百九十八条(使用貸借の解除)
貸主は、前条第二項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる。
2 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる。
3 借主は、いつでも契約の解除をすることができる。
解説
「タダで貸したのに、いつまでも返ってこない…」
→そんなときに使えるルールが、民法598条です。
◆かんたんに言うと?
借りた人が「使い終わった」か「使わずに返した」なら、
貸した人は「もうこの契約終わりにしていいよ」と言える、という法律です。
◆図でイメージ!
【使用貸借の流れ】
① Aさん → Bさんに「テント」を無料で貸す(使用貸借)
② Bさん → キャンプで使う(目的達成) or 使わず返す
③ Aさん → 「もう契約終わりにするね(解除)」と言える
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│ Aさんがテントを貸す │──▶【使用貸借の成立】
└────────────┘
│
▼
Bさんが使い終わる or 使わず返す
│
▼
Aさんが契約を解除できる(598条)
◆実生活でよくあるシーン
🎒ケース1:「子ども用品の貸し借り」
ママ友に「ベビーベッド」をタダで貸したけど、
子どもが大きくなって使わなくなった様子…。
→この時点で「契約解除」ができる!
⛺ケース2:「キャンプ道具の貸し借り」
友人に「タダでキャンプ道具を貸した」けど、
結局行かずに返してきた…。
→これも解除OK!
◆ここがポイント!
- 使用貸借は「善意の無料貸し」だからこそ、目的が終わったら契約を続ける意味がない。
- 長期化を防ぐためにも、「解除OK」とした法律的なルール。
- 金銭のやりとりがある賃貸借とは違う扱いになるので注意。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
契約名 | 使用貸借(無料でモノを貸す) |
条文 | 民法598条 |
ポイント | 借主が使い終わった or 使わず返したら、貸主は契約を解除できる |
日常例 | ベビーベッド、テント、工具の無料貸しなど |
✅最後に一言
無料でモノを貸す「使用貸借」は善意で成り立っている契約。
だからこそ、目的が終わったら契約も自然に終わらせるのが合理的です。
民法598条は、そんな場面で役立つ「さっぱり終われる」ルールなのです。