なぜ流用が制度としてあるのか?
自治体には予算の流用という制度があります。
これは、違法なものではなく、合法的に認められた制度です。
なぜ、流用という制度があるのかというと、それは自治体の予算の編成の仕方が少し変わっているからです。
自治体では、年度毎に予算を議会で通す必要があります。
実務的には例年、前年度の10月〜11月ぐらいに次年度の当初予算編成といって、次年度の予算を担当課が組み立てます。その後、財政課が査定をし、予算をある程度確定した後に、議会へかけるという流れになっています。
次年度の一年間の使えるお金を半年前の計画で全て決めることになっているのです。
そこで、半年のうちに予定していないことや新たに必要になったことがあるのは当然ですよね。日々刻々、社会は動いていますから。
大きな予算の変更は当然、市の財政として大きく関係することなので、議会で決めましょうということになっています。そういった場合は、補正予算として、その都度、議会に予算案をあげることになります。
しかし、小さなことまでその都度、議会を待っていると事業は全く進みません。
なので、一定の金額以下の予算の使い道の変更に関しては、首長判断でオッケーにしましょうというのが流用制度の概要です。
簡単に言えば、事業をある程度スムーズに実施するために、一定の金額以下の場合や大きく用途の変わらない場合は、予算を流用して良いですよ、ということなのです。
制度趣旨を考えない事務処理ロボットの理屈とは?
にも関わらず、当市の財政課は流用を原則認めないと言います。しかも、金額はとても少額です。用途は、ほとんど変わりません。当然、議会の案件でもありません。担当課長判断で流用できるものであっても、財政課が首を縦に振らないのです。
言い分としては「議会の承認を得ていない」「議会で承認されていない予算の使い方は、議会軽視」ということらしいです。
「議員から流用は良くないと言われる」なんていう財政担当者もいました。
流用の制度を理解していないからこういうことが起きるのです。
なぜ、流用という制度があるのか理解していれば、議員が仮に流用について何か言ってきても、教えてあげることができるはずです。
対して制度を勉強していない議員の言われるがままになる財政担当ともなれば、残念という他ありません。
自治体職員としてのプライドはないのか、甚だ呆れてしまいます。
「力のある誰かが言ったからダメ」というのは簡単です。そんな仕事誰でもできます。
そもそもなぜその制度があるのか?そういった基本的なことも考えないで、思考停止した事務処理ロボットがとても多く存在します。
思考停止した事務処理ロボットを一人でも減らしたいと思い、本記事を書きました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。