事件の概要
交通違反により、警察に呼び止められたXは酒臭さがあった。
警察の事情聴取の際に、Xは急に逃げ去ろうとし、自動車のエンジンをかけた。
巡査Yは、運転席の窓から手を入れ、Xの自動車のエンジンを切った。
Xは憤慨し、巡査Yに暴行。公務執行妨害で起訴された。
1審はX無罪。(理由:エンジンを切るという実力行使は、適法な職務行為とは言えない)
2審はXを有罪。
X上告。
判決の概要
上告棄却。
- 巡査がエンジンを切った行為は、警察官職務執行法上、職務質問を行うため停止させる方法として、必要かつ相当な行為。
- 道路交通法上、交通の危険防止のために、必要な応急の措置。
- 刑法95条1項にいう職務執行として適法
事件・判決のポイント
公権力の行使の際に、どこまでが許容されるかということですが、
飲酒運転の危険性がこれだけ言われている昨今では、
交通の危険防止の観点からは、当然の結論と見ることができます。
関連条文
刑法第95条(公務執行妨害及び職務強要)
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。