法律

「平成6年判決|物権的請求権の相手方(最判平6.2.8)」をわかりやすく解説

事件の概要

A所有の建物をBが相続し、その後Cに売却がされたが、登記はBのままであった。

Cの債権者Xは、Bに対して、建物収去・土地明渡しを請求。

1審、2審はXの請求棄却したため、Xが上告。

判決の概要

破棄自判

  • 土地所有権に基づく物上請求権を行使して建物収去・土地明渡を請求するには、現実に建物を所有することによってその土地を占拠し、土地所有権を侵害している者を相手方とすべき
  • もっとも、他人の土地上の建物の所有権を取得した者が自らの意思に基づいて所有権取得の登記を経由した場合には、たとえ建物を他に譲渡したとしても、引き続き登記名義を保有する限り、土地所有者に対し、譲渡による建物所有権の喪失を主張して建物収去・土地明渡しの義務を免れることはできない

事件・判決のポイント

物権的請求権の相手方は原則、「現実の建物所有者」になります。

ただし、この原則を貫くと建物所有者が不明な場合も出てきます。(「現実の建物所有者」は、登記がないため)

そのため、本判決では一定の場合に登記名義人を物権的請求権の相手方とすることを認めています。

-法律

© 2024 公務員ドットコム Powered by AFFINGER5