事件の概要
昭和29年9月、佐賀県議会において、予算案に反対する議員Xが質疑を行なっていたところ、賛成派の議員からXに対する懲罰動議が出された。
議員Xは、懲罰動議が出された場合、規則に基づき先議すべきと主張。
しかしながら、議長は懲罰動議の先議をせず、Xに予算案質疑続行を指示。
その後、賛成派の議員から、質疑打ち切り、全議案一括採択の動議が出された。
議長は、これを賛成多数により可決されたとして、全議案の一括採択を行なおうとした。
そのため、Xは仲間とともに、議長席付近にかけより、議長マイクのコードを引っ張り、椅子を揺さぶるなどの行為を行なった。
Xらは、公務執行妨害罪で起訴された。
1審、2審は同罪の成立を肯定。
Xら上告。
判決の概要
上告棄却。
- 議長の職務行為が適法でなかったとしても、刑法が保護する職務行為である。
- 議長の職務行為を妨害したXらの行為は公務執行妨害罪が成立する。
事件・判決のポイント
仮に、適法でない職務行為であっても、暴力等を用いてはいけないということです。
同じ裁判で争うにも、刑事事件ではなく、民事事件として、議長の職務行為を争えば良かったのかもしれません。
その場では、そんな冷静に判断できないでしょうが。
関連条文
刑法第九十五条(公務執行妨害及び職務強要)
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。