規制目的二分論とは?
規制目的二分論とは?
立法の規制目的を二分して審査基準を使い分けることです。
経済的自由に対する規制の合憲性を判断する際に使われる考え方です。
「消極目的規制」と「積極目的規制」
二分される規制目的は「消極目的規制」と「積極目的規制」に分けられます。
「消極目的規制」と「積極目的規制」については以下の表のようにまとめられます。
合憲性の判断基準 | 審査内容 | 具体例 | |
消極目的規制 (市民の生命・安全・健康を守るための規制) | 中間審査基準 | 目的が重要で、手段に実質的関連性があること(LRAの基準) | 薬事法距離制限事件 |
積極目的規制 (社会経済政策のための規制) | 明白性の基準 | 目的・手段のいずれかが著しく不合理でないこと | 小売市場距離制限事件 |
「消極目的規制」は、一定の害悪発生の危険を防止することが目的で、政策的判断の余地が少ないため裁判所の判断になじむと考えられています。
「積極目的規制」は、政策的判断が不可欠なため、裁判所は立法府の判断を尊重する立場にあります。そのため緩やかな審査基準になります。
規制目的二分論の問題点
最高裁では前述具体例で掲げた「薬事法距離制限事件」「小売市場距離制限事件」でこの規制目的二分論を展開していますが、問題点も指摘されています。
規制目的二分論の問題点というのは以下の二点です。
- 規制目的を厳密に二分できないのではないか
- 目的によって審査基準を分けることはできないのではないか
こういった問題点が指摘される中、最高裁は森林法違憲判決(最高裁昭和62.4.22)でこの規制目的二分論という考え方を放棄したという見方も有力になっています。