多額の借金を抱える自治体
とある実在する都市を、Xとし、財政状況を見てみます。
このXの年間の予算規模は、約400億円です。一般世帯の家計に例え、年収400万円とします。
基金残高は約100億円あります。一般世帯で言えば、貯金は約100万円です。
その一方、市債残高は、約600億円です。一般世帯で言えば借金600万円です。
一般世帯に例えると、危うさはすぐにわかります。
年収400万円の家庭が600万円の借金を背負っているのです。
そんな状況で、新たなハコモノを建てたりするから、驚きです。
その年収で、家を買ったの?となりますよね。
一般家庭との違い
「年収400万円の家庭が600万円の借金を背負っている」という話をすると反論が聞こえてきそうです。
「一般の家庭でも同じことかそれ以上の借金(ローン)を組むことがある」
確かに、年収400万円の若手で、3000万円のローンを組み、家を建てる人がいます。
しかしながら、これは将来返済が見込める人に対する貸付なので、見込みのない人には貸付られません。
一般家庭年収400万円で、銀行の審査が通った人は、
ローン返済の見込みはあると思いますが、自治体にはそういった将来見込みはありません。
さらに、自治体で言えば、そのローンを何のためにするかというと、「道路、水道などのインフラ、ライフラインの整備」になろうかと思います。
多くの自治体は、基本的なインフラ整備は、高度経済成長期前後にされています。
その時の借金が返せていなければ、それはそれでかなりの問題です。
危機感のない自治体
その上、今の経済成長が高止まりしている時代になっても、
公共事業の名の下、公平な世代間負担の名の下、次から次に、
ハコモノや道路などが作られ、債券が発行されていきます。
地元の事業者へ業務を発注することで市内経済の活性化を図ると言った意味不明な理論まで登場します。
そんなことよりも、自治体の財政健全化は、とても重要な問題と思うのですが、
国内の多くの自治体では、その認識はあまりありません。
危機感を持っていないのが、とても大きな問題です。