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囲繞地通行権とは?わかりやすく解説

囲繞地通行権とは?

囲繞地通行権とは、民法で規定された囲繞地を通行する権利のことです。

囲繞地とは、他の土地に囲まれて公道に通じない土地のことをいいます。

民法第210条(公道に至るための他の土地の通行権)
他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖がけがあって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。

判例によれば、袋地の所有権者は、所有権取得登記を経由せず、囲繞地所有者・囲繞地の利用権者に対して、囲繞地通行権を主張できるとされています。(最判昭47.4.14)

囲繞地に隣接する土地が行政財産だった場合•••

先日、役所で「囲繞地に隣接する土地が行政財産だった場合」についての議論を耳にしました。

担当者は、上司に対して、このような質問をしていました。

「これから袋地にある空き家に人が住もうとしているのですが、隣地の行政財産に対して「使用許可」をすることはできませんか?」

これに対して、問われた上司は、

「行政財産の使用許可?目的外使用許可?・・・んー」

「何か通行許可みたいなのがいるのかも。。」

結局、この2人、結論は出ず、散会となりました。

「囲繞地に隣接する土地が行政財産だった場合」については、その行政財産の使用等で特段の支障がなければ、民法規定の囲繞地通行権は当然にあるものと解すべきです。

民地ですら、囲繞地通行権が認められるのに、公有地で認められないわけがないと思うのですが。。

囲繞地通行権というものを知らないがばかりに、不毛な議論が巻き起こるのは、本件だけではありません。

補足:驚きの結末が•••

前述、袋地の居住者に対する「行政財産の使用許可」についてですが、続報が入ってきました。

「色々調べていると「囲繞地通行権」というものがあることがわかりました」と担当者。

「なので、権利があるから、やっぱり行政財産の使用許可を出すべきという結論になりました」

「使用許可を出して、規定通り使用料を計算します。年間数千円になるかもしれません」

・・・おい・・・

ぐうの音も出ない、驚きの結論となってしまいました。。

結構、上の役職の人同士の会話なため、周囲は何も反論できず、行政の怖さを改めて感じた事案となりました。

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