事件の概要
1934年に大阪市に生まれたX(塩見氏:韓国籍)は、幼少期のはしかが原因で失明。
1959年には改正前国民年金法別表1級に該当する状態。
1970年12月にXは日本国籍を取得。
その後、障害福祉年金の受給申請をするもY(大阪府知事)は却下。(認定日に韓国籍であったため)
Xはこれを不服とし、処分の取消しを求め、出訴。
1審、2審はXの請求棄却
Xは上告(改正前国民年金法の国籍条項は憲法違反と主張)
判決の概要
上告棄却
- 国民年金制度は、憲法25条2項の規定の趣旨を実現するために創設されたもので、全額国庫負担の無拠出制の年金であって、立法府は支給対象者の決定について、広範な裁量権を有している。
- 社会保障上の施策においては、在留外国人をどのように処遇するかについては、国は、特別の条約の存しない限り、政治判断により決定することができる。
- 限られた財源の下で福祉的給付を行うに当たり、自国民を在留外国人より優先的に扱うことも許されると解される。
事件・判決のポイント
このような財政上の理屈というのは、しばしば出てきます。
典型的な行政府の理屈と言えるでしょう。
関連条文
憲法第14条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。