法律

「名誉毀損罪の真実性の錯誤(最高裁昭和44.6.25)」をわかりやすく解説。

事件の概要

Yは、Aが和歌山市職員を脅したという情報を入手した。

Yが発行する新聞紙面で、Aが職員を脅した件について、記事を掲載。

Yは名誉毀損罪で起訴。

1審、2審ともにYが有罪。

Yが上告。

判決の概要

破棄差戻し。

  • 刑法230条の2の規定は、個人の名誉の保護と言論の保障(憲法21条)の調和をはかったものである。
  • なので、刑法230条の2第1項にあるように、確実な資料や根拠があれば、犯罪の故意がなく、名誉毀損罪は成立しない。

事件・判決のポイント

ポイントは、最高裁が言論の自由を少し優先した点です。

本判決以前は、真実性の証明に失敗したら、名誉毀損罪が成立することになっていました。

しかし、本判決では、真実性の証明に失敗しても、根拠があれば、故意が阻却されるものとされました。

関連条文

刑法第二百三十条(名誉毀き損)

公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法第二百三十条の二(公共の利害に関する場合の特例)

前条第一項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない。

事件データ・全文

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