事件の概要
X(杉山弁護士)は、被疑者の接見に行く旨、捜査官に電話連絡し、警察署に向かった。
警察署では、捜査主任官の指定もしくは指定書がないことを理由に接見を拒否された。
接見拒否に関わらず、Xは被疑者取調室へ向かったが、その際もみ合いになり、Xは治療4日のケガを負った。
(4時間後、10分間のみの接見を実施)
Xは大阪府を相手取り、慰謝料を求めて国家賠償請求を行なった。
1審、2審ともにXの請求認容。
大阪府が上告。
判決の概要
破棄差戻
- 捜査機関は、弁護人等から被疑者との接見の申出があったときは、原則、何時でも接見の機会を与えなければならない。
- 捜査の中断による支障が顕著な場合には、弁護人等と協議してできる限り速やかな接見のため、被疑者が防御のため弁護人等と打ち合せることのできるような措置をとるべき。
- 本件では、捜査官に接見指定の手続きをとる意思が全くなかったとはいえない。
- したがって、捜査官の一連の行為を違法と評価することは相当でない。
事件・判決のポイント
- ポイントは「捜査の中断による支障が顕著な場合」という文言です。
関連条文
刑事訴訟法第39条
身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
② 略
③ 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。