コラム

「公務員のいない社会」は、無駄が少なく健全な社会?

公務員天国は、無駄だらけ

日本は、公務員天国と揶揄されることがよくあります。

公務員は、大した仕事もしていないのに、高い給料をもらっていると言われます。

確かにそういった面はあるでしょう。

実際、民間企業の成果主義的な部分と比較すると公務員にこれといった成果は必要ありません。

「公共の福祉の実現」という誰も具体的なイメージのできないことが公務員の成果です。

達成できたとも言えるし、達成できていないとも言えます。

その上、身分保障もあり、無能な人でも中々首にはなりません。

9時から5時まで役所に行き、一定の時間を過ごし、帰宅をすれば、安定した給料がもらえます。

やはり、公務員天国なのだと思います。

それ故に、行政には無駄がたくさんあります。

効果、効率を民間ほど求められないため、無駄であっても継続する事業や業務がたくさんあります。

道路も問題なく走れるのに、いつも工事をしています。

学校も老朽化の名の下、すぐに建て替えが進みます。

公共施設も、このご時世にと思うのですが、新築されたり、改修されたりしています。

公務員天国では、公務員はもちろん、事業も業務も無駄がとても多いのです。

今後、テクノロジーにより公務員はいなくなる?

そんな公務員天国な日本社会ですが、今後公務員はどんどん減っていくことが予測されます。

というのも、まず日本社会自体が人口減少社会だからです。

人口が減っているのですから、当然仕事も減ります。公務も減るのは当然なので、公務員は減らさなくてはなりません。

合わせて、イギリスのオックスフォード大学オズボーン准教授らによって発表された「20年後までに人類の仕事の約50%が人工知能ないしは機械によって代替され消滅する」という予測に代表されるように、テクノロジーの進歩は、仕事を代替してくれます。

特に、事務仕事などは、今後さらに減少することが予測されます。

以上、2点から公務員は不要な社会が予測されます。

市場原理が働かないからサービスは良くならない

現在の公務員天国の弊害として、行政には「市場原理が働かない」ことがあげられます。

直営をするから、サービスが一向に良くならないことが往々にしてあります。

教育もその際たるものです。

公立の学校教育というのは、授業はまるで面白くなく、学習意欲も湧きません。

私立学校の先生の方がまだマシです。授業が面白く、生徒に評価される先生が、学内でも評価され、給料にも反映しますので。それでも、まだまだ面白くありません。

これらに比べ、一流の予備校講師の授業やYouTubeでの人気講師の授業はとても面白く、何度も見たくなります。そして、自分で調べてみよう、勉強してみようという気にもなります。

教育だけでなく、行政活動のほとんどは、市場原理が働かないために、サービスが低下しているという現状があると言えるでしょう。

公務員のいない社会

松下幸之助さんは、終生の研究テーマとして、「無税国家」を掲げていたと言います。

戦後の日本で人一倍税金を納めてきた松下さんが、その税金がいかにして国家に役立っているのか、考えていたはずです。

組織体を運営していく上での最もネックになる人件費が、皆無になるとすると、この「無税国家」の理念にはいくらか近付きます。

では、人件費を皆無とする社会、すなわち「公務員のいない社会」というのは実現可能なのでしょうか?

「住民票の発行」や「手当の認定」などの事務で言えば、事務処理システムを整備してしまえば、あとは人手が不要になるでしょう。

それは、道路などのインフラと同じで、作ってしまえば、必要なのはメンテナンスぐらいです。

メンテナンスも業者がすれば良いことです。

健康保険も民営化します。今は、国民健康保険で、行政が保険運営をしていますが、それ故に採算が取れない状況です。民間が運営した方が、持続性のある保険運営が可能になります。

また、電気ガス水道の中で唯一、民営化されていない水道も民営化します。民営化すれば、水質の安全性が保たれないとの声もありますが、そのような状況に陥れば、そこは、司法介入も可能ですし、マスコミの出番にもなります。今のシステムで十分に対応が可能です。

警察も民間警備会社に置き換えることもできるかもしれません。民間がすることで、日中、無意味な切符切りがいなくなります。地域の治安は、当然とても大事なので、皆無にすることは難しいかもしれませんが、段階的な削減は可能です。

学校は、全て私立学校にします。公立の学校は廃止し、公務員をなくします。教育こそ民間の市場原理を働かせ、教育市場を活性化させます。より質のいい教育を国民に提供することができるのではないでしょうか。今の教育は、建前上は、教育機会の均等、教育権の保障ですが、あくまで建前で、現実から目を背けている側面もあります。

都道府県庁なんかも真っ先に不要になるでしょう。国と地方のつなぎ役でしかない都道府県の担う事務は、いらないものとして早い段階であがってきます。

問題になるのが、貧困層への支援、現在、福祉が担っている部分です。これに関して、現在ベーシックインカムの議論がなされています。仮にベーシックインカムが制度として導入されたとして、一定の生活保障は可能になるでしょう。その他の福祉についてですが、行政、公務員が担わなくても良いものもたくさんあります。現時点でも、民生委員や保護司などは、職責の重さの割りに、報酬は限りなくゼロに近いです。現時点でも福祉のかなりの部分を地域社会が担っています。・・・であれば、貧困層への支援、現在の福祉もある程度、地域へ任せることができます。

というように、公務員のいない社会について検討してきました。

人口が減少し、テクノロジーは進歩する社会の行き着く先は、このような「公務員のいない社会」かもしれません。

「公務員のいない社会」の方が、無駄が少なく健全な社会に思えます。

このような社会には、目指してなれるものでもないかもしれませんが、社会全体で考えてみるのも悪くないのではないでしょうか?

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