公務員に限った話ではないですが、日本では憲法に対する本質的な理解があまり浸透していません。
原因は、憲法制定の経緯やその後の教育など様々なものが重なり合っているものと思われます。
一般の国民は、日々憲法と無関係に過ごし、憲法に縛られることはありません。
なので、国民は極端な話、憲法を理解していない人がいたとしても問題はないのですが、公務員に関して言うと話は全く違ってきます。
憲法というのは、国民から国家や公務員への手紙なのです。
法律とは本質的に異なります。
法律は、国家権力が定めたルールです。一般の人であっても、守らなければならない法律はたくさんあります。
憲法は、ベクトルが逆になります。憲法は、一般の国民が国家権力を制限するためのメッセージと言うことができるでしょう。
近代国家が制定される以前は、国を統治する権力者が好き勝手にしていたという時代がありました。
しかし、それは納得できない、ということで、革命など血を争うことが起きました。
そして、新たな国家を作るとき、次の国家権力が同じことをして、好き勝手をしてしまえば元の木阿弥です。国家権力を国民が制限する、監視する必要があったのです。
そのようにしてできたのが、憲法になります。
なので、近代国家で制定されている憲法の意味からすると聖徳太子の「17条の憲法」とは本質的に異なります。
こういったことを知った上で憲法を読んでみてください。国民から国家権力へのメッセージになっていることが分かると思います。
例外的に、国民の義務を記したものもいくつかありますが、あくまでそれは例外です。
公権力の担い手である公務員は、憲法に直接縛られてきます。それほど「権力」というものに近代は敏感なのです。
権力は、戦争をすることもお金を徴収することもできてしまいます。
権力者は、やろうと思えばなんだってできてしまいます。
公務員は、自身が公権力の担い手であることを再度確認する必要があるでしょう。
そして、国民からのメッセージに真摯に向き合う必要があります。
公務員が憲法の本質を知らないと本当に秩序のない、未来のない世の中になってしまいます。
今一度、国民の声に耳を傾けるべきではないでしょうか?