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公権力発動要件欠如説・職務行為基準説とは?わかりやすく解説

公権力発動要件欠如説・職務行為基準説とは?

公権力発動要件欠如説・職務行為基準説とは、いずれも国家賠償法の違法性についての考え方のことです。

判例は、いずれの立場も示していますが、主に「職務行為基準説」を採っています。

公権力発動要件欠如説

公権力発動要件欠如説は、行為について公権力の発動要件を欠くことを違法としている考え方のことです。

国家賠償法上の違法性を取消訴訟等の違法性と同様と考えています。

本説においては、違法性と過失は別個の判断になります。

具体例として、「パトカー追跡事件」があげられます。

  • Y県警のA巡査が運転するパトカーがB車追跡中にB車がC車と衝突し、C車同乗者が死亡した事案→巡査の追跡行為は違法ではないとして、Yの責任を否定

職務行為基準説

職務行為基準説は、職務上尽くすべき注意を怠ることを違法としている考え方のことです。

国家賠償法上の違法性を取消訴訟等の違法性とは異なるものと考えています。

本説においては、違法性の中に過失を取り込んで判断することとなります。

具体例として、「奈良民商事件」があげられます。

  • 所得税の増額更正処分を受けた者が別訴の取消訴訟で前記処分が取消された事案→国の賠償責任を認めずに請求棄却。公務員が職務上尽くすべき注意義務を怠ったことを違法とする立場

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