法律

「朝日訴訟(最高裁昭和42.5.24)」をわかりやすく解説。

事件の概要

結核を患い岡山療養所に入所していたX(朝日茂)は、生活保護法に基づく医療扶助、生活扶助(月々600円)を受けていた。

そんな中、福祉事務所は、Xの兄に対し月1500円の仕送りを命じる。

福祉事務所は、仕送りの月1500円から日用品費(600円)を差し引き本人に渡し、残りの900円を医療費の一部自己負担分とする保護変更処分を行った。

(結果、手元には、以前と同じ600円が残り、変わりがないということになった。)

これに対し、Xが岡山県知事に不服申立てを行ったが却下され、次いで厚生大臣に不服申立てを行うも、厚生大臣もこれを却下したことから、Xが行政不服審査法による訴訟を提起した。

1審は請求認容。

2審は棄却。

Xは、憲法25条1項違反を理由に上告。

判決の概要

Xが死亡したため、訴訟終了。

  • 憲法25条1項はすべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営み得るように国政を運営すべきことを国の責務として宣言したにとどまり、直接個々の国民に具体的権利を賦与したものではない。
  • 何が健康で文化的な最低限度の生活であるかの認定判断は、厚生大臣の合目的な裁量に委されてる。

事件・判決のポイント

本判決は、憲法25条は「プログラム規定」であるとの立場になります。

「プログラム規定」とは、国民個人の権利を規定したものではなく、国の目標を定めた訓示的な規定のことです。

現在の通説では、憲法25条は抽象的権利を認めたものと解されています。

関連条文

憲法第25条(生存権、国の社会的使命)

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

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