なぜ、行財政改革は進まないのか?
なぜ、行財政改革は進まないのか?
政治や行政、国家運営や地方自治に少しでも関心のある人は、一度は感じたことがあることではないでしょうか?
筆者は、地方自治体の行財政改革の担当者として、その理由について考え、解説してみたいと思います。
なぜ、行財政改革は進まないのか?
それは、
- 行財政改革をする必要がないから
- 行財政改革をする気がないから
この二点につきるのではないでしょうか?
この二点はどういうことか?
これについて、解説していきたいと思います。
行革が進まない理由①する必要がないから
これは、どういうことかと言うと、
行財政改革をしなくても、行政運営はできてしまうということ、です。
国内で、行財政改革に注目が集まった「事件」があります。
それは、2007年に起こった北海道夕張市の財政破綻です。
夕張市は、かつては炭鉱のまちとして栄えましたが、
炭鉱のまちとしての産業は衰退し、転換を図り、
浮揚を目指した観光産業でも、巨額の負債を抱えることとなり、
財政再建団体に指定されました。
その夕張市の教訓として、今の地方財政の様々な制度ができたのですが、
これが、経営体としての本質に迫ることのない、無意味なものなのです。
様々な財政指標を用いて、自治体の財政を分析し、それをもって、
「我がまちの財政は健全です。」と言うのですが、
「そりゃ、当時の夕張に比べればね」という程度の話です。
財政指標に現れなくとも、自分の住むまちの施策に対して
「無駄なことしてるな」と感じたことはないでしょうか?
その感覚は、正しいです。
実際、行政なんて、無駄だらけです。
だって、お殿様ですから。何もしなくても、住民からの「あがり」があるじゃないですか。
「あがり」とは、税金のことです。
本当は、税金の中で、上手いこと経営しないといけないのです。
それが、どうでしょう?
無駄なことをするだけして、お金が足りないと借金をする。
経営体として経営努力をしなくても済む仕組みになっているのです。
地方公会計というものがあり、どのまちもバランスシートを公表していますので、
自分のまちのバランスシートを見てみてください。
「○○市 財務諸表」と検索すれば、大体でてきます。
そのまちの資産の7〜9割は、固定資産です。
これは何を隠そう、無駄な公共施設の山のことです。
右側の負債と純資産を見てください。純資産、結構あると思いませんか?
負債も案外少ないと思うかもしれません。
しかし、本当は、税金をとって商売をする仕組みなのですから、
努力をせずとも、「あがり」がある訳ですから、負債がそこそこある方がおかしいのです。
むしろ、うまい経営者が経営すれば、もらう税金はもっと少なくてもやっていけるはずです。
以前、橋爪大三郎先生が、ビデオニュース・ドットコム中での対談で、
行政官僚のことを「寄生虫」と言われましたが、全く同意です。
寄生虫が自らの既得権益を守ろうとするから、それは、うまい経営なんてできるはずがない。
「する必要がない」のです。
行革が進まない理由②する気がないから
それでも、稀に行財政改革、行政経営の必要性を感じ、やる気のある職員は、存在します。
正義感の強い彼らは、自分たちでどうにか、行財政改革を進めようとします。
しかしながら、ほとんどが進まないのです。
それは個人の問題ではなく、組織として「する気がないから」。
首長もなかなか腹が括れないのです。
無駄なバラマキも自分がやめれば、自分の責任になります。
どうにか任期が終わるまでは、自分は住民に支持されたいと思っているのか、
周りが忖度しているのかは、知りません。
こういった意味での「する気のなさ」が一つあります。
そして、また行革の担当者も腐ったリンゴの中にいて、
腐りかけているリンゴだったりするので、これまた間違った正義感を持っていたりします。
組織内での立身出世の方が大切ですし。
行革、行革と言いながらも、無駄な会議を山のように行い、
その意見をまとめようとしてもまとまるわけもなく、
そうこうして、1年、2年すぐに過ぎていきます。
首長も担当者も、組織や歴史に縛られているのが現実かもしれません。
無駄がなくなるのは、いつなのか?
行財政改革が進むのは、いつなのでしょうか?