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「市町村子ども家庭支援指針」をわかりやすく解説!市町村児童福祉のバイブルの要点を整理!

市町村子ども家庭支援指針とは何か?

昨今、児童虐待がマスコミの報道などにより、世間的にも注目されています。

これに伴い、近隣の泣き声通告など児童相談所への通告・相談件数は増加傾向にあります。

児童相談所の業務の増大に伴い、市町村の児童福祉担当課の業務も増加しています。

市町村児童福祉担当課の役割というのは、児童虐待の未然防止で、児童相談所で一時保護や施設入所措置になる前に、在宅で可能な限り支援する、というものです。

この「児童相談業務」の市町村における対応のバイブルとなるのが、「市町村子ども家庭支援指針(ガイドライン)」なのです。

「市町村子ども家庭支援指針(ガイドライン)」は、平成29年3月に厚生労働省雇用均等・児童家庭局長より通知されたもので、あくまで「通知」であるので、法的拘束力はありません。

ただし、実質的に今の国内の児童相談業務の運営は、この指針に基づいてされているので、内容について解説していきたいと思います。

指針の出された経緯

指針の出された経緯としては、平成28年の児童福祉法改正が大きく影響しています。

平成28年の児童福祉法改正については、別記事で詳しく述べたいと思いますが、簡単に触れておきます。

平成28年の改正では、「子どもが権利の主体であること」が明確化されました。

この改正がなぜ大きいのかと言うと、普通の法改正ではその法目的等が示される第1条などの部分は変更しません。

しかし、この平成28年改正では、第1条から改正されました。

この法目的の書かれている部分というのは、その法律の背骨になります。その背骨がすっかり書き替えられたのです。なので、とても大きいものと言うことができます。

これまで、日本では子どもを権利の主体としてあまり認識していない風潮がありました。

今でも世間の雰囲気には、子どもを権利の主体として尊重するまでには至っていない場合も多々見受けられます。

しかしながら、そういった世間を変えるためにも、児童福祉法では、「子どもを権利の主体とすること」が明記されました。

理念上は、子どもであっても権利の主体とするべき、というものなのです。

あとは、国内社会がこの法律に追いついていかなければなりません。

指針の全体像

子どもを権利の主体として、さらには全ての子どもが健全に育成されるよう、一義的な責任は保護者にあるにしても、国や地方公共団体にもその責任はあります。

その「子ども家庭」を支援するための指針が本指針です。

「市町村子ども家庭支援指針」(ガイドライン)

第1章 市町村における子ども家庭支援の基本

第2章 子ども家庭支援における市町村の具体的な業務

第3章 相談種別ごとの対応のあり方

第4章 都道府県(児童相談所)との関係

第5章 関係機関等との連携

第6章 子ども家庭支援における市町村の体制

第7章 子ども家庭支援における市町村の設備、器具、統計、検証

との見出しになっています。

第1章に関しては、理念やそもそも論になっています。第1章第2節3が重要になってきます。

第2章は、具体的で以下で詳しく述べます。

第3章〜第5章は、対応のあり方や関係機関との関係についてです。事例が起きた際に、辞書的に使用すれば良いです。

第6章は、組織づくりに重要な視点です。管理職や人事担当課などが読むべき部分です。

第7章は、ここでは設備等について書かれています。自治体内の予算措置の際には材料として使えるかもしれません。

ここでは、第1章第2節3第2章について詳しく見ていきます。

第1章第2節3

「協働・連携・役割分担が必要となる具体的場面として4点」として、

(1)~(4)があげられています。

(1)については、市町村は(省略)子ども家庭相談のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものについては、児童相談所の技術的援助及び助言を求めなければならない。といったことが書かれています。

簡単に言えば、「難しい相談は児相に聞く」ということです。児相も助言する義務があります。

(2)については、市町村の役割が書かれています。

「簡単なケースは市町村の持つ情報やサービスを使って、市が対応する」ということです。

(3)については、主語が都道府県になっています。

児相は専門性を活かして、市町村の援助や助言をすることや研修をすることとされています。

(4)については、要は地域の実情に応じて運用しなさいということです。

第2章

「第2章 子ども家庭支援における市町村の具体的な業務」はこの指針の重要な部分です。

というのも、この指針で市町村児童福祉担当は何が知りたいかというと「・・・で、市町村の児童相談業務って何?」ということです。

業務について具体的には、第2節で書かれています。

「1.虐待予防・早期発見に視点を置いた支援」という項目の中に、記載があります。

具体的には、妊産婦指導乳幼児健康診査、新生児訪問等の母子保健事業乳児家庭全戸訪問事業養育支援訪問事業等の子育て支援事業において、子ども虐待防止の視点を強化し、虐待のハイリスク家庭等養育支援を必要とする家庭を早期に発見して適切な支援を行う(以後省略)。

これは、簡単に言えば、他部署や同部署内での連携をしなさいということです。

虐待防止のために、母子保健担当課と情報共有し、リスクのある家庭については把握する必要がありますし、そういった家庭に対して、母子保健事業や子育て支援サービスを利用することを勧めています。

また、市町村における子ども家庭相談においては、子どもの安全にかかわる危機の確認のための緊急度アセスメントやリスクアセスメントが必要であるが、その上で保護者の困り感に焦点を当てて、市町村が行う支援を適切に提供できるよう、体制を整える必要があり、そのためには、ニーズアセスメントが重要である。

これは、子どもが安全かどうかリスクを正しく「評価」しなさいということです。

素人が感覚的にリスクを評価しては、見落としてしまうことがあります。それではいけないということです。

「2.子ども家庭支援全般に係る業務」というのが主な業務内容になります。主に4つに分類されています。①実情の把握②情報の提供③相談等への対応④総合調整の4つです。

①実情の把握は、地域の実態をよく知っておくべきだということです。

児童福祉では、住民票がなくても居住実態があれば、支援対象として見ていく必要があります。地域に詳しく、また地域の情報が集まる体制を作っておかなければなりません。

②情報の提供は、主には支援対象者に対して、「どういった保育園があるよ」「どこに相談にいけば良いよ」「こういうサービスがあるよ」と教えるべきだということです。

③相談等への対応では、直接寄せられた相談にも対応できるように体制を整えておくべきだということです。なので、保健師や助産師、教員などがいるのが望ましいのです。多くの子育て世帯の様々な相談ニーズに対応しなければなりません。

④総合調整は、関係機関との連携するということです。支援者の自立を促すためにも、手取り足取り支援するというのは良いことではありませんが、中には支援がなくては動きが取れない人もいます。そういった人には、まずは保護者本人の日常生活を取り戻すために病院受診につなげたり、福祉サービスにつなげたり、までは支援してあげないといけない場合もあります。

ここで取り上げたのが、第2章のポイントです。

要支援児童、要保護児童への対応については、要保護児童対策地域協議会の活用が重要となってきますので、そちらは別記事に譲りたいと思います。

まとめ

以上をまとめると以下のようになります。

第1章第2節3

・難しいケースは児相に聞く。

・簡単なケースは市町村の持つ情報やサービスを使って、市が対応する。

・市町村は児相の専門性を利用する。

第2章

「1.虐待予防・早期発見に視点を置いた支援」

・他部署や同部署内での連携する。

・子どもが安全かどうかリスクを正しく「評価」する。

「2.子ども家庭支援全般に係る業務」

・実情の把握は、地域の実態をよく知っておく。

・情報の提供は、主には支援対象者に対して、「どういった保育園があるよ」「どこに相談にいけば良いよ」「こういうサービスがあるよ」と教える。

・相談等への対応では、直接寄せられた相談にも対応できるように体制を整える。

・関係機関との連携する。

最後に、ここでは別記事に譲りましたが、要保護児童対策地域協議会を活用するというのもあります。

これらを踏まえて、地域の全ての子どもに対応していこうというのが、本指針です。

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