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特定妊婦をわかりやすく解説

特定妊婦とは?

特定妊婦とは?

「出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」のことです。

具体的には、

  • 出産リスクの高い若年妊婦
  • 経済的基盤の安定しない妊婦
  • 精神疾患のある妊婦

など支援が必要とされる妊婦のことです。

児童福祉法第六条の三
⑤(略)出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦(以下「特定妊婦」という。)(略)

特定妊婦になるには?

特定妊婦は、本人がなろうと思ってなれるものではありません。

前述の出産リスクを行政が判断し、「要対協(要保護児童対策地域協議会)」で受理された場合、特定妊婦になります。

「要対協(要保護児童対策地域協議会)」は児童虐待の防止などを目的とした地域ネットワークで、地域の医者、児童相談所、行政保健師、学校、保育園など関係者が集まる組織です。

そういったネットワークの中で子ども(お腹の中の子どもも含む)を支援していくというものなので、支援される側は「自分が特定妊婦」ということは知らずに支援される仕組みになっています。

特定妊婦への支援は?

特定妊婦になると具体的にどのような支援を受けられるのでしょうか?

具体的には、

  • 行政保健師が電話や家庭訪問などで相談に応じてくれる
  • 保健師が様々な制度につないでくれる
  • 産婦人科医との調整
  • リスクの高さを認識した上で医療機関が対応してくれる
  • 出産後、保健師など専門家からアドバイスをもらえる
  • 突発的な事案が発生した際に児童相談所などが迅速に対応してくれる

などがあげられます。

あくまで前述のとおり「特定妊婦」本人は自身が「特定妊婦」であることを知らないので、

知らず知らずのうちに助けられている

というものになるでしょう。

制度の問題点は?

この特定妊婦という制度は、児童福祉法の精神である「全ての児童は適切に養育される〜」という理念を実現するために不可欠な制度とされています。

児童福祉法第一条
全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのつとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。

ただ、問題がないわけではありません。

一つは、この特定妊婦というのは、氷山の一角に過ぎないということです。

年々、特定妊婦の数は増えていると言われていますが、それでも特定妊婦のように支援の必要な人というのは水面化にたくさんいると言われています。

そういった支援が必要だけど、表面化されない人たちをどう見つけ、支援するのかというのが課題となっています。

もう一つ問題点を挙げるとすると、それは「プライバシー保護」の問題です。

前述したように「特定妊婦は自分が特定妊婦と知らない」「知らず知らずに支援されている」仕組みになっています。

その裏で特定妊婦とされた人の高度な個人情報が前述の「要対協」でやり取りされています。

本人は誰にも知られたくないと思っているような個人情報も「リスク分析」「アセスメント」などの名目で「要対協」内では全て共有されてしまいます。

今のところ「子どもの命」と天秤にかけ、プライバシー保護の観点より「子どもの命」が優先するとのことで整理されていますが、「命」のリスクが低い場合も高度な個人情報がやり取りされる場合があるので、今後「プライバシー保護」の問題が指摘される可能性はあります。

参考

YouTubeで動画を公開しています。

よろしければそちらもご覧ください。

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