
田舎の困りごと
先日、高齢者率50%を超える過疎地域の中でも辺鄙な場所にある集落に
「田舎の困りごと」の調査で行ってきました。
主に、不便なところで生活をしている独居老人にお話を伺いました。
90歳前後の独居老人の「田舎の困りごと」は主に以下のとおりです。
- コミュニティバスの便が少ない。
- コミュニティバスの時間割が不便。
- 買い物する場所がない。あっても遠い。
- 病院の待ち時間が長く、バスの時間に間に合わない。
- 美容院になかなか行けない。
- 友達が減り、さびしい。
お会いして話をするまでは、机上で漠然とこういったことを
思い描いていましたが、実際こういった課題を抱えていました。
地域振興とは何か?
しかしながら、生活をしていけている現実があります。
そして、一人暮らしができているところは、
都市部に住む同世代に比べ、「若く、元気」と感じました。
過疎地域の独居老人たちは皆、農業をしたりして、認知症にもならず、
元気に一人暮らしをしていました。
それはともかく、行政として、過疎対策とは、どのように向き合っていけば良いのでしょうか?
過疎対策を考えるのに、参考になる視点は、社会学者である小熊英二氏の著書「地域をまわって考えたこと(東京書籍)」にありますので、引用します。
地域振興の目標は、どんなものであればよいか。これについては、基本的には地域住民が決めるしかない。しかし、あえて示唆を述べるならば、「他から必要とされる地域」および「持続可能で人権が守られる地域」という目標の立て方がありうると思う。
「地域をまわって考えたこと(小熊英二)」
特に、後者の視点「持続可能で人権が守られる地域」が重要になってきます。
過疎地域での行政の役割とは?
なので、困りごとを解決するために、行政がするべきことは、
こういった視点を持ちながら、当事者に寄り添う姿勢ではないかと思うのです。
現実問題、都市部へ転居できるかと言えば、大多数ができないでしょう。
コンパクトシティとは言うものの、世代交代するまでは、
サスティナブルな地域経営の必要性はあります。
過剰なサービスは不要ですが、最低限、生活に欠かせないインフラ整備等は必要になってきます。
一筋縄ではいかないのが、過疎対策、地域振興ですが、
粘り強く打開策を見つける努力をし続けるのが、まずは行政の最初の役割ではないかと思います。
机上で計画を作り、現場に足を運ばないのは、最もダメなことなのです。