法律

「株券発行前の株式譲渡(最高裁昭和47.11.8)」をわかりやすく解説。

事件の概要

株券の発行をしていないY1株式会社にて、

取締役Xは、大株主Y2より、Y2が所有する株式全て(16000株)

を譲渡され、株主台帳に記載された。

その後、株主総会にて、Y2が16000株を有するとの前提で、

取締役Xを解任するとの決議があった。

大株主Y2の言い分は、

  • 株券発行前のため、株式譲渡は無効

とのこと。

Xは、Y1株式会社を相手に株主総会決議取消の訴えを提起。

1審、2審ともにXの請求棄却。

X上告。(①定足数の不足②非株主Y2の関与のため決議を取消すことを主張)

判決の概要

破棄差戻。

  • 商法204条2項(現在の会社法128条2項)の法意を考えてみると、株式会社が株券を遅滞なく発行することを前提に、その発行が円滑、正確に行われるようにするために、株券発行前の株式譲渡の効力を否定すると解するべき。
  • この前提を欠く場合についてまで、一律に株式譲渡の効力を否定することは、立法趣旨に反する。
  • 今回のケースのような場合、株主は意思表示のみによって有効に株式を譲渡でき、会社は株券発行前であることを理由に効力の否定はできない。

事件・判決のポイント

そもそも、「株券の発行」をきちんとしていないのに、

それを理由に「効力がない」とするのは、おかしいということです。

関連条文

会社法第128条(株券発行会社の株式の譲渡)

株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じない。ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでない。

2 株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じない。

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