法律

「寺西判事補分限事件(最高裁平成10.12.1)」をわかりやすく解説。

事件の概要

Y(寺西判事補)は、盗聴法・組対法に反対する集会に出席し、

「法案に反対」ととれる発言をする。

Yの言動に対して、裁判所長Xは分限裁判の申し立て。

高等裁判所はYに戒告処分を付す決定を下した。

Yは即時抗告。

判決の概要

抗告棄却

  • 裁判官は、職務を離れた私人としての行為であっても、政治的な勢力にくみする行動に及ぶときは、裁判官の中立・公正に対する国民の信頼を揺るがすばかりでなく、立法権や行政権に対する不当な干渉、侵害にもつながる
  • 憲法第21条の表現の自由は基本的人権の中でもとりわけ重要であり、保障は裁判官にも及ぶが、絶対的なものではなく、憲法上の他の要請により制約を受けることがある。
  • 裁判官に対して「積極的に政治運動をすること」を禁止することは、制約が合理的で必要やむを得ない限度にとどまる限り、憲法の許容するところ。
  • 禁止の目的が正当で、目的と禁止との間に合理的関連性があり、禁止により得られる利益と失われる利益との均衡を失するものでないなら、憲法第21条1項に違反しない。

事件・判決のポイント

  • 猿払事件判決と同様の基準を採用しています。

関連条文

裁判所法第49条(懲戒)

裁判官は、職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠り、又は品位を辱める行状があつたときは、別に法律で定めるところにより裁判によつて懲戒される。

憲法第21条

集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

裁判所ホームページ(外部リンク)

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