条文
第九十四条 相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。
わかりやすく
相手方と一緒になってした虚偽の意思表示は無効。
2 ただし、善意の第三者に対抗することはできない。
解説
巷では、よく「通謀虚偽表示(つうぼうきょぎひょうじ)」と言われています。
通謀虚偽表示について、規定されているのが、本条文です。
1項について
虚偽表示は、表意者及び相手方は意思表示が虚偽であることを認識しているため、いずれも法的に保護する必要がないことから当事者間で無効としています。
2項について
2項は、虚偽の外観を信頼した第三者を保護するための規定です。
- ①虚偽の外観の存在
- ②真の権利者の帰責性
- ③外観への信頼
がある場合は、2項を類推適用して、第三者を保護することとなっています。
「第三者」とは、当事者及び包括承継人以外の者で、虚偽表示による法律行為の存在を前提として利害関係に立った第三者のことになります。(最判昭45.7.24)