法律

民法をわかりやすく解説

0.民法とは?

本記事は、民法の概略について、わかりやすく解説していこうという試みです。

民法の条文を一つ一つ見ていても中々、全体像が見えてこない、民法の勉強がはかどらない、

という人へ、いわば民法のロードマップを提供しようということです。

民法は、私法の原則法です。

まず最初に「民法とは何か?」という問いに対しては、

「民法は、私法の一般法です」ということが言えるでしょう。

法律は大きく、

私法公法

の二つに分類できます。

私法というのは、私人間の権利関係に関わる法律のことです。

一方、公法というのは、公権力(政府など行政の強制力)の行使に関わる法律のことです。

民法は、私法の一般法なのです。

人が社会で生活していく中である、人と人との関係性、その中でトラブルなんかがあろうものならいかに解決するかが問われます。

例として、

  • お金を返せ
  • 慰謝料を支払え
  • 家を買いたい

など、様々な場面で民法の適用があります。

社会生活の基本として、よって立つ法律になるのが「民法」なのです。

民法、すごいですよね。

民法の全体像を見る。パンデクテン体系という体型。

とは言うものの、民法の全体像が見えてきません。

条文の数は、全部で1050もあると言うではないですか。

そんな1050から構成される民法は、一体どんなものなのでしょうか?

民法を一つの体として捉えた時に、一体どんな体型をしているのか、見ていきましょう。

民法は、主に5つのパーツでできています。

総則物権債権親族相続

5つのパーツで、民法は構成されているのですが、ここで大切なのが、

パンデクテン体系(パンデクテンシステム)という民法のシステムです。

パンデクテン体系というのは、全ての規定に共通する一般的な規定が、法律の冒頭の総則にまとめられてあります。

それから、各編(物権、債権など)の冒頭に総則として、共通する一般的な規定が総則として、まとめられています。

このような「つくり」のことをパンデクテン体系というのです。

なので、民法の中でも重要な部分をはじめに捉えようと思えば、まずは「総則」、その次は、各編の「総則」というように、学習を進めていけば良いのです。

こういったイメージを念頭に、5つのパーツを見ていきます。

このイメージがあるのとないのでは、5つのパーツの見え方も変わってきますよね?!

1.総則

総則の中身を見ていくと、大きくは以下の7つの章に分類されています。

通則法人法律行為期間の計算時効

こんな風ではありますが、難しく考えることはありません。

通則には、原則の中の原則とも言うべきことが書かれています。

何か迷った時には、ここに立ち返れば良いのです。

通則は、第1条と第2条です。

  • 第1条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
  •   2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
  •  3 権利の濫用は、これを許さない。
  • 第2条 この法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等を旨として、解釈しなければならない。

これが全てです。

人と法人についてです。

このあたりは、何が人なのか、又は法人なのかを書いています。

(民法では)人は、いつからいつまでが人なのかなど、そういった問いに対しての答えが書いています。

また、それだけでなく、制限行為能力者など、人(自然人)の中でも事情があって行為能力に制限をされる人もいますので、そういったことについても触れてあります。

その次は、についてです。

「物」とは、有体物をいう。と書かれています。

電気ガス水道、冷気なんかも物とされています。

当然、土地や家なんかの不動産も物になります。

次、法律行為がこの編のキモかもしれません。

法律行為のところで出てくる話の主なトピックスは以下の通りです。

意思代理無効と取消し条件と期限

意思というのは、人の気持ちみたいなものですが、これを表示した時は、どうとか、虚偽の表示はどうとか、そういったことが書かれています。

一つ一つ見てみると、色んなことが想定されて書かれている条文だったりするので、勉強になりますし、面白さも見出せるかもしれません。

代理というのは、本人ではなく、その代理ということですが、世の中、本人ではなく、代理人がする法律行為というのは、結構多いものです。

例えば、未成年からすれば親だったり、マンションの大家からすれば不動産屋だったり、まあともかく代理というのは多いのです。

本人であれば、問題がなくとも、代理は果たして、どこまでが代理として認められるのか、などが書かれています。

無効と取消しについてですが、詳しくは置いておいて、

無効と取消しの違いについて、以下、述べておきます。

  • 無効は、「はじめから効力なし」
  • 取消しは、「取消しをしない限り有効」

まずは、これだけ頭に入れておいてください。

条件と期限については、条件が揃った時にどうなるか、期限が訪れた時どうなるか、などが書かれています。

少し長くなりましたが、これが総則の中の「法律行為」の部分になります。

あとは、「期間の計算」と「時効」だけです。

期間の計算については、文字通り期間の計算方法が書かれています。

時効については、時効についての効力など、時効に関するエトセトラが書かれています。

これが、民法の中でも骨格とも言える総則のロードマップです。

これが頭にあるのとないのでは、民法の学習スピードが違います。

なんせ、民法というのは、1050もの条文からなる巨体です。

1700もの自治体からなる日本みたいなものかもしれません。

日本を知るのに、1700のまちを一つ一つ見ていっても埒(らち)があきません。

まずは、どういった「つくり」になっているか、見る必要があるでしょう。

なんとなく、民法というものがどういったものになっているか、朧げにでも見えてきたところで、もう少しだけ、それぞれを見ていきたいと思います。

先程の例えで言えば、関東とは?関西とは?九州とは?みたいなものかもしれません。

それでは、物権から見ていきましょう。

2.物権

ここでは「物権」について、さらに詳しく書かれています。

総則で「物」について言及がありましたが、それをさらに詳しくといったところです。

物権の中には、柱が多く、以下の10本柱になっています。

総則占有権所有権地上権永小作権地役権留置権先取特権質権抵当権

詳しくは、それぞれの事案にあたった時に、詳しく条文を見ていくことになると思います。

ここでは、こういった権利があるということを知ってもらえれば十分でしょう。

物権の中にも、占有権とか所有権とか、色々な権利があることが分かります。

物を支配しているような状況でも、実際に所有していないことはありますよね。

例えば、人から本を借りている時とか、そうです。

そんな風に、物権も色んなケース、色んなパターンがあるので、このようにたくさんあるのです。

これから自分が出会っていくケース、一つ一つを大切に、これらの権利について、見ていくことができれば、民法の学習は飛躍的に進みます。

3.債権

債権について、詳しく書かれている編です。

債権は、存在感がありますね。

3番バッターですからね。強打者です。(バッターの例えは、債権だけにしておいてください。)

債権は、以下5本柱です。

総則契約事務管理不当利得不法行為

ここでも、パンデクテン体系が出てますね。

一番最初は総則と相場が決まっています。

契約とありますが、よく言われるのが、「契約自由の原則」というものです。

  • 第521条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
  • 2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。

「法令に特別の定めがある場合を除き」「法令の制限内において」とありますが、契約については、当事者間の自由という原則があるのです。

事務管理とは、義務はないけど他人のために○○をしてあげた、というものです。

現実社会では、滅多にあるものではないかもしれません。

不当利得とは、文字通り不当な利得です。

利益を受けるべきではない人が利益を受けた時は、それを利益を受けるべき人に返還しなければならない、というルールになっています。

不法行為は、これも不法な行為のことです。

故意又は過失により権利や利益を侵害したものは、損害賠償をする責任を負うということになっています。

「故意又は過失」というのが、ここでのミソです。

債権については、詳しく述べれば詳しくなってしまいますので、この辺にしておきます。

相手チームの3番バッターを理解すれば、相手チームを攻略することに近づきます。

ぜひ、3番バッターの研究をすることをお勧めします。

(再掲:バッターの例えは、債権だけにしておいてください。)

4.親族

親族については、少しリラックスして、読んでもらえればいいかもしれません。

以下の7本柱になっています。

総則婚姻親子親権後見保佐及び補助扶養

詳しくは、述べませんが、親族というものを明確にしておかないと、様々な場面で、トラブルが起きてしまいます。

5編の相続でもそうですし、結婚、出生、離婚などなど社会生活の中で、親族・家族の話は、切っても切り離せません。

そんな親族・家族のことが書かれています。

5.相続

最後は、相続です。

これは、柱としては、10本柱です。一応、以下に示しておきます。

総則相続人相続の効力相続の承認及び放棄財産分離相続人の不存在遺言配偶者の居住の権利遺留分特別の寄与

この柱は柱として、あまり気にしなくてもいいかもしれません。

実際、法律家になった時は、これから先、日本は少子高齢化社会であり、相続問題は、増える一方です。

法律の各種試験対策としては、あまり重要ではない本編も、実務者となれば重要になることでしょう。

先を見据えた勉強をするのであれば、この編も熱心に読んでみるのも一つです。

以上、長くなりましたが、民法のロードマップです。

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。

とはいえ、丁寧に読んでいただいた方は、きっとこれから民法の実力が伸びていく方です。

全体像が見えて、学習するのと、見えずして、学習するの、全く伸び方が違います。

この調子で、法律の学習を頑張っていただければと思います。

-法律

© 2024 公務員ドットコム Powered by AFFINGER5