法律

「自動車内の検索(最高裁平成7.5.30)」をわかりやすく解説。

事件の概要

巡査Aは、自動車内にいたXに対して、職務質問を始めた。

無線通信で照会したところXには覚せい剤使用歴があることが判明。

車内を調べたところ覚せい剤の入った袋が出てきた。

その後、Xは警察署で尿を提出し、覚せい剤が検出された。

Xは、覚せい剤使用の罪で起訴。

1審、2審ともにX有罪。

Xが上告。(尿の採取手続きの違法があり、証拠は違法収集証拠となると主張)

判決の概要

破棄差戻。

  • 警察官が車内を調べた行為は、被告人の任意の承諾がなかったので、違法であることは否定し難い。
  • 車内を調べた行為は、被告人の承諾がない限り、所持品検査として許容される限度を超えている。
  • 車内を調べた行為が違法である以上、現行犯逮捕手続は違法であり、採尿手続も「違法な手続によりもたらされた状態を直接利用し、これに引き続いて行われたものであるから」違法性を帯びる。
  • しかしながら、採尿手続の違法は重大とはいえず、被告人の鑑定書の証拠能力は、肯定することができる。

事件・判決のポイント

警察官の捜査は、違法なのだけど、重大な違法ではないから、今回は問題ない。

シンプルにいえばこういうことになります。

関連条文

刑事訴訟法第218条 

検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。

裁判所ホームページ(外部リンク)

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