コラム

「本は買って読め、家は借りて住め。」の真意〜一言に集約された経済合理性〜

本は買って読め、家は借りて住め。

「本は買って読め、家は借りて住め。」という言葉があります。

この言葉は、灰谷健次郎(以下、敬称略)が書いた「太陽の子」という小説のワンシーンで出てきます。

「本はひとのを借りて読んで、せっせっと家を買うお金をためるような人間にはなるなっていうこと」

というように続きます。

灰谷健次郎という人は、児童文学作家です。

「兎の眼」や「太陽の子」などの代表作を残しています。

自身の生い立ちや教職員を十数年してきた経験などから社会的弱者に対する眼差しを持っていた人で、児童文学作家として後に残る仕事をたくさんされました。

その灰谷健次郎が小説の中で書いた一言というのが、冒頭引用したこの言葉なのです。

本を買って読むこと

灰谷健次郎は、「本はひとのを借りて読んで、せっせっと家を買うお金をためるような人間にはなるな」という人としての有り様のことを言っています。

こういうことをするセコセコした人間になるな、ということでしょう。

別の側面からこの言葉を見るとまた違って見えます。

まず、「本を買って読む」ことには、どれほど価値があるのでしょうか?

「本を読むこと」には自己投資として大きな価値があることが分かっています。

「本を読む人」と「本を読まない人」とでは、平均年収が「本を読む人」の方が高いです。

また、実業家の成毛眞さんは著書の中で、「本を買って読む」ことを推奨されており、ご自身も実践されています。

本を読み、自身の血肉とするには、「本は買って読むこと」が一番でしょう。

「本を買って読むこと」は、最もコストパフォーマンスの良い自己投資と言えます。

家を借りて住むこと

次は、「家を借りて住むこと」についてです。

一昔前までは、マイホームを持つことは、サラリーマンの夢や目標とされてきました。

土地と建物を合わせて、田舎でも3000万円。都会では6000万、7000万円もする人生をかけた買い物を多くのサラリーマンがしていました。

今でも、まちでは新しい戸建ての家が次々と建ち、マンションが建てられています。

しかし、今の日本で、家を買うという行為はかなりのリスクがあります。

そもそも家というものは、買った瞬間に価値が何割か下がります。

5000万円出して買った家は、買った瞬間、5000万円で売ることはほぼ不可能になります。

職人の給料に消えるのであれば、まだ納得できますが、ハウスメーカーの広告費などに消えていっているものも多くあります。

そもそも年収500万〜1000万円程度、その人の経済的価値自体生涯収入2〜3億円程度の人が年収の何倍もの買い物、生涯年収の何割にもなるような買い物をすることが間違っています。

それに資産として家を持っていたとしても、それだけの価値がないことは述べましたが、それ以上に維持費などがかなりかかります。

マンションでいえば、管理費も結構かかってきます。

それで言えば、「借りて住む」方が絶対にお得です。

精神的に追い込まれるレベルの負債を積極的に抱え込む必要はありません。

これからは人口減少する社会です。

家は国内に余っています。

むしろ、これからは、家賃は下がっていくでしょう。

「家は借りて住め」ということなのです。

まとめ

灰谷健次郎が「太陽の子」を出版したのは、1978年になります。

時代はまだ日本の経済成長著しい時代です。

そんな時代の中であっても、弱者の目線を見失わず、後世に残る作品を書いた灰谷健次郎の著作は今も生きています。

その中でも「本は買って読め、家は借りて住め。」という言葉は、今の時代にも合った言葉かと思います。

本記事の読者には、この言葉を実践することをお勧めします。

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