コラム

「虐待疑い」1年以上一時保護(明石市)から読み解く、昨今の行政権力の問題点。

本ニュースの前提として必要な2つの知識

兵庫県明石市は、児童相談所が2018年に虐待を疑い一時保護した

当時生後2カ月の乳児が、両親と1年以上引き離されて暮らす事案があったと発表しました。

このニュースを読む前に、前提として必要になる知識があります。

それは、明石市は、児童虐待、児童福祉の分野では先進地であるということです。

会見をした泉房穂市長は、福祉分野に精通しており、

特に児童虐待、児童福祉分野では国内でも先進的に取り組んできました。

まずはじめに言えるのは、そんな児童虐待対応の先進地である

明石市でなければ、本件はニュースにしなかった、ということです。

児童相談所の職権による一時保護や長期間にわたる家庭分離は年々増加しています。

本事案に類似する事案も当然、国内に多く存在します。

保護者と児童相談所が対峙して、裁判になるケースもよくあります。

そして、多くの児童相談所をはじめとする行政機関が、ミスをしてもひた隠しにする中、明石市は公表をしました。

当然と言えば当然ですが、このような行動ができる自治体はそうそうありません。

さらに、本来、本件の説明責任が生じるのは、

「明石こども家庭センター(児童相談所)」のセンター長又は所長か初期対応をした

「兵庫県中央こども家庭センター(児童相談所)」のセンター長又は所長になるかと思いますが、

今回は市長が会見をしました。

任命責任を含めて、首長の責任というところなのかもしれませんが、

説明責任を首長が果たすというのも、他の自治体では中々できません。

よくあるのが担当課長、担当者に説明させ、あたかも担当者の責任であるかのように仕立てます。

この2点は、前提として知っておいた方がいい知識です。

それを踏まえて、本事案を見ていきます。

児相の権力チェック体制を

本事案のような職権一時保護の発動は、昨今本当によくあります。

「疑わしきは保護」が児童相談所の近年の原則になります。

今回の一番問題だと感じるのは1年以上にわたり、親子分離が続いたことです。

なぜ、このことが起きたのかと言えば、

児童相談所が事案を抱えている時間があまりにも長すぎることに原因があります。

刑事事件での公権力の発動の場合は、警察が逮捕してから、検察に事案が送致され、裁判となります。

裁判になれば、客観的な証拠の積み上げ等により、適正な手続きを含め、判断がされます。

しかしながら、本件のような児童虐待案件はどうでしょう?

児童相談所は、職権一時保護をした後に、実際に虐待があったかどうかを調査します。

医師の診断や心理士の所見などを積み上げ、一時保護、その後の措置が妥当かどうかを判断していきます。

裁判所が介入するには、保護者と対立した場合になります。

そうならないといつまでも児童相談所の判断が継続するのです。

職権一時保護、親子分離という大きな権力も、専門家とはいえ、

児童相談所が独占してしまうと本事案のようなものが発生します。

本事案を回避するために必要なのは、早期の司法介入ではないかと思います。

具体的には、一時保護の後、施設に措置入所する際に、一度裁判をするなどです。

一時保護の後、施設に入所させる際に、保護者に形式的な同意を取ることがよくあります。

「同意書にサインをしないと裁判になりますよ。」「同意しないと子どもに会うことができませんよ。」

などと脅迫とも取られかねないやりとりが現場では実際行われています。

本事案でもこういった事に近いやり取りがあったことと思われます。

公権力の濫用と言っても過言ではありません。

公権力はチェック機能が働かないとエスカレートしていきます。

権限は拡大していくばかりです。

システムとして、肥大する児童相談所の権限をチェックする体制をつくるべきかと思います。

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