事件の概要
静岡県に住む兄弟は、山林を父から生前贈与された。
二人は、山林の経営をめぐり対立。
弟は、兄に対して山林の1/2を分割することを求めたが拒否された。
そのため、弟は山林の分割等を要求して出訴。
1審、2審ともに弟の請求棄却。
弟、上告。
判決の概要
原判決中、X敗訴部分を破棄差戻し。
- 憲法29条2項にいう公共の福祉は、規制の目的、必要性、内容、制限される財産権の種類、性質、制限の程度を比較考量して決めるべき。
- 裁判所は、立法府の判断を尊重し、その判断が合理的裁量の範囲を超える場合にのみ否定する。
- 森林法の目的は、公共の福祉に合致しないとは言えない。
- しかし、分割制限をすることで共有者間の紛争を永続させることになり、森林経営は安定しない。
- 適当な分割も許さないのは、限度を超えた規制である。
- よって森林法186条は、合理性・必要性を欠き、違憲無効である。
事件・判決のポイント
本判決は、「法令違憲」としたものです。
経済的自由に関するものでしたが、規制目的二分論を採らなかった点が特徴です。
関連条文
憲法第29条(財産権)
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。