黙秘権とは?
刑事訴訟で、被疑者や被告人が終始沈黙し、又は個々の質問に対して供述を拒む権利のことです。
被告人の黙秘権については、311条で規定されています。
刑事訴訟法第311条 被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる。 ②〜③ 略 |
刑事訴訟法第198条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。 ② 前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。 ③〜⑤ 略 |
刑事訴訟法では、黙秘権について、憲法38条1項に規定される「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」権利(自己負罪拒否特権)よりも手厚い保障がされています。
黙秘権の範囲について、以下のとおり問題となります。
- 氏名に黙秘権は及ぶか?→被告人の氏名には及ばない
- 呼気検査は黙秘権を侵害するか?→供述を得るものではないため、侵害しない
- ポリグラフ検査は黙秘権を侵害するか?→非供述証拠であるため、侵害しない(非供述説)
黙秘権の効果として、次の3点があげられます。
- 供述しないことへの制裁の禁止
- 黙秘権侵害による証拠の排除
- 不利益推認の禁止