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無名抗告訴訟とは?わかりやすく解説

無名抗告訴訟とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟(行訴法3Ⅰ)で、法定抗告訴訟(行訴法3Ⅱ〜Ⅶ)以外のもののことです。
この記事では、無名抗告訴訟の基本的な理解とその適用についてわかりやすく解説します。

抗告訴訟とは?

まず「抗告訴訟」についてですが、これは行政事件訴訟法第3条に列挙される「行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟」のことを指します。

行政事件訴訟法第三条(抗告訴訟) 
この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。

無名抗告訴訟とは?

抗告訴訟に対して、無名抗告訴訟は、冒頭に記載の通り、
「行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟(行訴法3Ⅰ)で、法定抗告訴訟(行訴法3Ⅱ〜Ⅶ)以外のもの」
をいいます。
「処分の取消しの訴え」「裁決の取消しの訴え」「無効等確認の訴え」のような「名前」を持たない場合の行政訴訟のことを指します。

訴訟の対象となる行政行為

無名抗告訴訟の対象となるのは、通常、具体的な行政処分としての体をなさないような行為です。
例えば、「国歌斉唱等の職務命令に基づく公的義務の不存在確認」や「自衛官が防衛出動命令に服従する義務がないことの確認」に関する訴訟がこれに該当します。

まとめ

かつては、義務付け訴訟と差止訴訟が無名抗告訴訟の典型例とされていましたが、これらが行訴法改正により法定抗告訴訟とされたため、前述のものが無名抗告訴訟と言われるようになりました。
無名抗告訴訟は、行訴法38Ⅰで規定される「取消訴訟以外の抗告訴訟」でもあるため、同項に列挙された規定が準用されることになります。

行政事件訴訟法第三十八条(取消訴訟に関する規定の準用)
第十一条から第十三条まで、第十六条から第十九条まで、第二十一条から第二十三条まで、第二十四条、第三十三条及び第三十五条の規定は、取消訴訟以外の抗告訴訟について準用する。

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