自分で考えてみることで新たな発見がある
第10次地方分権一括法の中に児童福祉法の一部改正がありました。
概要を見ると、「子育て短期支援事業」において、市町村が児童養護施設等を介さずに児童を里親等に直接委託し、必要な保護を行うことができるようになるとのことです。
「子育て短期支援事業」とは、児童を児童養護施設等で、一時的に預かることができる事業です。
保育園の一時預かりと違うのは、宿泊することや日曜日に利用することができるところです。
市町村が児童養護施設に委託をして、児童を預かります。
改正理由には、「里親委託を可能にした」とあります。
・・・ここで、考えてみます。
果たして、法改正しなければ、里親へ委託はできないのでしょうか?
「委託」というのは、市町村が本来するべき仕事を外部に依頼することです。
市の「子育て短期支援事業」として、里親に委託するのは、改正前も可能なのです。
しかし、なぜ法改正がされたのでしょうか?
児童福祉法の「子育て短期支援事業」の規定は、何を示しているかといえば、国の事業として、認める事業ということなのです。
言い換えれば、児童福祉法の「子育て短期支援事業」を書き換えることで、補助金・交付金の対象も変わるということなのです。
「里親委託が可能になった」というのは、「里親委託が補助金・交付金の対象になった」という意味なのです。
なので、市町村の「子育て短期支援事業」として「里親委託」をするには、改正前も改正後もしていいのですが、改正前にするのであれば、市の単独事業として「全額市が負担しなさい」ということなのです。
一見、わかりにくい法改正もどこかに理由があるはずです。
調べてわからなければ、自身で考えるしかないですが、自分で考えるのも案外面白いものです。
なぜ、法改正が必要だったのか、法改正しなかったら何が問題なのか、法の背後に見え隠れするものを推測することで、事象に対する理解が深まります。
推測が自己流であってもお勧めです。