事件の概要
Xは中学生の時より実父より姦淫され、以後夫婦同様の生活を強いられた。
職場で正常な結婚機会があったが、実父はXを10日にわたって、脅迫、虐待した。
このため、Xは疲労困憊し、実父を絞殺。
Xは当時の刑法200条(尊属殺規定)で起訴。
1審はXの刑を免除。(過剰防衛及び心神耗弱。刑法200条は憲法違反)
2審は実刑判決。(刑法200条は合憲)
Xが上告。
判決の概要
破棄自判
- 尊属に対する尊重報恩は、社会生活上の基本的道義であり、刑法上の保護に値する。
- 加重の程度が極端で、立法目的達成の手段として甚だしく均衡を失し、正当化の根拠を見出せない場合は、差別は著しく不合理で違憲。
- 刑法200条は、尊属殺の法定刑を死刑または無期懲役に限っている点において、立法目的達成のため必要な限度を遥かに超え、普通殺の法定刑に比べ、著しく不合理な差別的取扱いであり、憲法14条に違反し、無効。
事件・判決のポイント
- 違憲判決があり、その後、刑法200条は削除されています。
関連条文
憲法第14条
すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。