事件の概要
作家Yは小説「宴のあと」を執筆。
同小説内では元外務大臣Xの私生活
について描写があった。
Xはプライバシーが侵害されたとして
Yに対する損害賠償訴訟を提起。
判決の概要
一部認容、一部棄却
- プライバシーの侵害に対して法的な救済が与えられるためには、次の要件を必要としている。
- ①私生活上の事実、または私生活上の事実らしく受け取られる恐れがあること。
- ②一般人の感受性を基準にして、公開を欲しないであろうと認められること。
- ③一般の人々にいまだ知られていないこと。
- これらの公開によって本人が不快、不安の念を覚えたことを必要とするが、公開されたことで名誉、信用などの法益を侵害するものであることを要しないのは言うまでもない。
事件・判決のポイント
- 本件はプライバシー侵害についての判決。
- プライバシー侵害と名誉毀損は似て非なるもの。
- プライバシーというのは、他人に知られたくない私的領域のことで、仮に真実であっても報道される筋合いはない。
- 名誉毀損は、報道について「公共の利益」「価値」「真実か否か」が問題となり、根拠のない虚偽の報道であれば、不当にその人の社会的評価を低下させることになり、成立する。
関連条文
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最高裁判所判例集
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