条文
第三十七条の二(義務付けの訴えの要件等)
第三条第六項第一号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。
2 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
3 第一項の義務付けの訴えは、行政庁が一定の処分をすべき旨を命ずることを求めるにつき法律上の利益を有する者に限り、提起することができる。
4 前項に規定する法律上の利益の有無の判断については、第九条第二項の規定を準用する。
5 義務付けの訴えが第一項及び第三項に規定する要件に該当する場合において、その義務付けの訴えに係る処分につき、行政庁がその処分をすべきであることがその処分の根拠となる法令の規定から明らかであると認められ又は行政庁がその処分をしないことがその裁量権の範囲を超え若しくはその濫用となると認められるときは、裁判所は、行政庁がその処分をすべき旨を命ずる判決をする。
解説
「第三条第六項第一号に掲げる場合」というのが、「行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき」のことを示しています。
この場合に、行政庁が処分をすべき旨を命ずることを求める訴訟を「非申請型義務付け訴訟」と言います。
要件・効果
「非申請型義務付け訴訟」の手続要件は、以下のとおりです。
- 一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれ
- 損害を避けるため他に適当な方法がない(補充性要件)
- 法律上の利益がある(本条3項、4項)
「非申請型義務付け訴訟」の効果としては、「訴訟提起が可能」ということになります。