一事不再理効とは?
一事不再理効とは?
刑事事件で、同一事件について再度審理することができない(裁判の)効力のことです。
従来は、既判力と同様に解されていたが、現在では、既判力と一事不再理効を区別し、考えられています。
一事不再理効については、憲法39条に根拠を求める見解が有力です。
憲法第39条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。 |
では、裁判上、一事不再理効をいかに考えるかというところですが、実体裁判と形式裁判で次のようにわかれます。
実体裁判
- 基本的には一事不再理効が生じる
- 略式命令は問題になるも通説では一事不再理効を制限的に解するべきではないとされている
形式裁判
- 不適法を補正すれば再起訴は許容される(実体的な判断がされていない以上、二重の危険は生じておらず、一事不再理効は生じない)
一事不再理効の範囲
一事不再理効の範囲は「客観的範囲」「主観的範囲」「時間的範囲」として、整理されます。
「客観的範囲」では、「公訴事実の同一性」が問題となり、その判断基準については判例に基づいています。
また、「併合罪関係の数罪」についても問題となりますが、相互に密接であり、1個の事象とみれる場合には、一事不再理効が及ぶとされています。
「主観的範囲」ですが、共犯者には及ばないのが基本的なところです。
「時間的範囲」についても問題となりますが、学説上は第1審判決宣告時までに発生した犯罪事実については一事不再理効が及ぶもこれ以降の犯罪事実には及ばないとされています。