事件の概要
Xは16歳少女と十数回に及ぶ性交渉を行なっていた。
Xは、「18歳未満の青少年に対する淫行」をしたとして、
福岡県青少年保護育成条例違反で起訴された。
1審は、罰金5万円に処するとした。
2審は、控訴棄却。
Xは上告した。
Xの主張は、以下のとおり。
- 「淫行」の意味が不明確であり、青少年の性行為一般を処罰する危険性を持つ。
- 憲法31条に違反する。
判決の概要
上告棄却。
- 本条例での「淫行」は、広く青少年の性行為一般を言うものではない。
- 青少年を誘惑するなど不当な手段により行う性行が、「淫行」である。
- 「淫行」をこのように定義すれば、処罰の範囲が不当に広いとは言えない。
- 憲法31条の規定に違反しない。
事件・判決のポイント
条例上の「淫行」を限定的に解釈していないか。
又、限定的に解釈していれば、憲法31条に違反するのではないか。
という点が問題となりました。
過度に広汎な文言により刑罰を科すことは、適正手続きを要請している憲法31条に反します。
「淫行」の意味を本判決のように解釈することは、解釈の限界を超えるとの反対意見も付されています。
条例による刑罰なので、「淫行」の文言もより具体的でなければいけない気も確かにします。
関連条文
憲法第三十一条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。