法律

「威力業務妨害罪の成否(最高裁平成14.9.30)」をわかりやすく解説。

事件の概要

東京都は、新宿駅西口から新宿副都心に通じる地下通路に「動く歩道」を設置する計画をした。

そのため、地下通路で生活するホームレスに対して、退去するよう要請。

段ボール等を整備する工事を実施した。

これに対して、Yらは都職員の工事区域への立ち入りを阻止。

Yらは威力業務妨害罪で起訴。

1審、無罪。2審、有罪。

Yは上告。

判決の概要

上告棄却。

  • 段ボールの撤去は、強制力を行使する権力的公務ではないから「業務」にあたる。
  • 路上生活者が段ボール撤去によって被る財産的不利益はごくわずか。
  • 都が段ボールを撤去する際に行政代執行の手続きをとるのは困難。

事件・判決のポイント

本件は、「公務執行妨害罪」か「威力業務妨害罪」かという点が問題になりました。

「公務」か「業務」かです。

「権力的公務」は「公務」であり、「非権力的公務」は「業務」であるというのが判例になります。

それにしても、判例の「路上生活者が段ボール撤去によって被る財産的不利益はごくわずか」というのは、失礼な話ですね。

また、自治体職員としては、生活保護をはじめとした福祉サービスにつなげる努力をしたのかどうかも気になります。

福祉サービスを紹介してもなお、路上で生活する権利を訴えたのであれば、

それは公共の利益に反する面があるので、仕方ないと思いますが、

路上生活者とどのようなコミュニケーションが行われたのか、気になります。

裁判所ホームページ(外部リンク)

事件データ

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