法律

「実子あっせん事件(最高裁昭和63.6.17)」をわかりやすく解説。

事件の概要

医師は、自身の信念から「実子あっせん行為」を行なっていた。

これを知った医師会が、指定医師の指定を取消した。

医師が、指定取消処分の取消しを求め、提訴した。

※ちなみに、「指定医師」とは医師の中でも少し特別な「医師」ということ(法律に基づいて特別な医療行為ができたりする。)を言い、医師免許の取消しではない。

判決の概要

「指定の撤回はしても良い。」ということです。

医師が敗訴しています。

事件・判決のポイント

行政法の立場からすると、本判決のポイントは以下のようになります。

・行政行為(指定処分)の撤回に法的な根拠が必要か否か?

→「必要ない。」(理由)実子あっせん行為の問題が、上告人医師の被る不利益を考慮しても、公益上の必要性が高いと認められるから。

「公益上の必要性」が高ければ、行政処分した者は法的根拠がなくても撤回ができるということです。

「公益上の必要性」が高いかどうかの判断は最終的には最高裁がしているので、主導権は最高裁にあるのでしょう。

それは、それとして、本事件でも問題になっている「実子あっせん事件」というのは、当時社会的反響があったそうです。

医師の信念として、「実子あっせん行為」を行なっていたとのことです。

医師は、医師としての当初は、産婦人科医として中絶手術をしていましたが、次第に自身の行為に葛藤を持ち始めたということです。

そして、「実子あっせん行為」をするに至りました。

この事件は、現在の特別養子縁組の制度構築にも影響があったということです。

それにしても、考えさせられます。

今でも、社会的な理由(経済的な理由や望まない妊娠など)で中絶を希望する人だけでなく、中絶を進める医師や行政が一定数います。

しかし、生物として考えた時に、生命倫理として、果たして正義と言えるのかは疑問です。

そんなメッセージまで含んでいるのが、本事件と本判決になります。

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