条文
第百九十条 悪意の占有者は、果実を返還し、かつ、既に消費し、過失によって損傷し、又は収取を怠った果実の代価を償還する義務を負う。
2 前項の規定は、暴行若しくは強迫又は隠匿によって占有をしている者について準用する。
わかりやすく
自分に全ての権利がないことを知っていた者は、
利益を返還しなければならないし、これまでに使った分については
弁償しなければならない。
2 この規定は、暴行や強迫などで占有している者についても適用する。
解説
具体的なケースで、イメージをしてみます。
A、B、Cがいて、建物を共有しているとします。
Cが共有している事実を知っていて、独占している場合、
Cは、「悪意の占有者」ということができます。
そして、A、BからするとCを追い出したいですが、
民法249条で、「各共有者は(持分に応じて)共有物全体を占有する権限を有する」とあるため、
Cにも全体を占有する権限があるため、追い出すことはできません。
Cを追い出すことはできないですが、本条文から、不当利得返還請求はできるため、
A、BはCに対して、賃料相当額を償還してもらうことになります。