事件の概要
東京都は、新宿駅西口から新宿副都心に通じる地下通路に「動く歩道」を設置する計画をした。
そのため、地下通路で生活するホームレスに対して、退去するよう要請。
段ボール等を整備する工事を実施した。
これに対して、Yらは都職員の工事区域への立ち入りを阻止。
Yらは威力業務妨害罪で起訴。
1審、無罪。2審、有罪。
Yは上告。
判決の概要
上告棄却。
- 段ボールの撤去は、強制力を行使する権力的公務ではないから「業務」にあたる。
- 路上生活者が段ボール撤去によって被る財産的不利益はごくわずか。
- 都が段ボールを撤去する際に行政代執行の手続きをとるのは困難。
事件・判決のポイント
本件は、「公務執行妨害罪」か「威力業務妨害罪」かという点が問題になりました。
「公務」か「業務」かです。
「権力的公務」は「公務」であり、「非権力的公務」は「業務」であるというのが判例になります。
それにしても、判例の「路上生活者が段ボール撤去によって被る財産的不利益はごくわずか」というのは、失礼な話ですね。
また、自治体職員としては、生活保護をはじめとした福祉サービスにつなげる努力をしたのかどうかも気になります。
福祉サービスを紹介してもなお、路上で生活する権利を訴えたのであれば、
それは公共の利益に反する面があるので、仕方ないと思いますが、
路上生活者とどのようなコミュニケーションが行われたのか、気になります。