事件の概要
Xは、雑誌などを郵便で輸入しようとした。
しかしながら、税関検査で雑誌が「風俗を害すべき書籍、図画」
に該当する輸入禁制品であることが発覚。
札幌税関は、Xに、この旨を通知した。
これに対して、Xは異議申し立てをしたが、棄却。
Xは、通知及び異議棄却決定の取消訴訟を提起した。
1審は、税関検査が検閲にあたるとして処分を取り消し、Xが勝訴。
2審は、これを覆し、X敗訴。
Xが上告。
判決の概要
上告棄却。
検閲とは、行政権が主体となって、
思想内容等の表現物を対象とし、
網羅的かつ一般的に、発表前に、
発表禁止を目的として、審査が行われることを指す。
ここでの税関検査は、事前規制ではない。
関税徴収手続きの一環として付随的に行われるものなので、
思想内容の網羅的審査でもない。
判断には、司法審査の機会が与えられており、
行政権の判断が最終的なものでもない。
よって、検閲ではない。
事件・判決のポイント
本判決では、「検閲」がなんたるものか示されています。
ポイントは、①発表前の規制ではないこと。
②関税徴収手続きの「ついで」に行われたこと。
③行政権の判断が最終ではないこと。
になります。
関連条文
憲法第21条(集会・結社・表現の自由、通信の秘密)
2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。